私自身、30代で2回転職しています。そのうち1回は、年収が下がる転職でした。

「転職したいけど、年収が下がるのが怖い」「年収ダウンの転職ってやめたほうがいいの?」――こういう不安を抱えている人は多いと思います。私もそうでした。

結論から言うと、転職で年収が下がること自体は珍しくありません。ただし「どこまで下がるか」「なぜ下がるか」を理解しないまま転職すると、後悔する可能性が高いです。

この記事では、厚生労働省のデータを踏まえた転職で年収が下がる現実と、私自身の年収ダウン転職の経験を交えながら、転職で年収が下がることへの不安を解消するための考え方を整理します。

転職で年収が下がる人はどれくらいいるのか

厚生労働省の「雇用動向調査」によると、転職で年収が下がる人は全体の約3割です。

令和6年(2024年)の雇用動向調査によると、転職入職者の賃金変動状況は以下のとおりです(厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」より)。

賃金変動 割合
増加 40.5%
変わらない 28.4%
減少 29.4%

つまり、転職で年収が下がる人は約3人に1人です。逆に言えば、約4割は転職で年収が上がっているわけで、「転職=年収ダウン」というわけではありません。

ただし、この数字は全年齢・全業種の平均です。30代に限ると、20代よりは年収が上がる割合がやや高い一方で、未経験業種への転職や地方への移動では転職で年収が下がるケースが目立ちます。30代の転職事情全般については30代の転職完全ガイドも参考にしてください。

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年収が下がる転職のよくあるパターン

年収が下がる転職には、いくつかの典型的なパターンがあります。自分がどれに該当しそうかを事前に把握しておくことが大切です。

未経験の業界・職種への挑戦

30代で異業種に転職する場合、前職のスキルがそのまま評価されないことが多く、年収が下がりやすいです。特に、営業職からエンジニア、事務職からマーケティングのように職種が大きく変わるケースでは、一時的に年収が100万円以上下がることもあります。

大企業から中小企業への転職

大企業と中小企業では、基本給だけでなくボーナス・手当・福利厚生に差があります。この点については中小企業への転職のメリットとデメリットでも詳しくまとめています。基本給が同程度でも、年収ベースでは数十万円の差になることは珍しくありません。

都市部から地方への移動

東京から福岡への転職では、同じ職種・同じポジションでも年収が下がるケースが多いです。地方は物価が低い分、給与水準も低めに設定されている傾向があります。

私の場合、2社目への転職がまさにこの「業界変更+地方の中小企業」のパターンでした。エージェントからは「年収は維持できます」と言われていたのですが、実際に入社してみると、提示されていた条件と実態にギャップがありました。残業代の計算方法が違ったり、賞与の査定基準が前職と異なっていたりして、結果的に年収は微減でした。この経験から、「提示年収」と「実際の手取り」は別物だということを痛感しました。

A person at a crossroads with two paths - one leading to a tall building, another to a smaller but w

年収ダウンの許容範囲はどう考えるべきか

「年収が下がるのは仕方ない。でも、どこまでなら許容できるのか?」。これは転職を考える多くの人が悩むポイントです。

絶対額ではなく「生活費との差分」で考える

大切なのは、年収の絶対額ではなく、生活費を差し引いた「手残り」がどう変わるかです。

たとえば、年収が50万円下がっても、通勤時間が短くなって交通費や外食費が減り、トータルの支出が30万円減るなら、実質的なダメージは20万円です。特に地方への転職では、住居費が大幅に下がるケースが多いので、額面の年収だけで判断するのは危険です。

許容範囲の目安

一般的には「年収の1割減(50〜60万円程度)」が許容範囲の目安とされることが多いです。

現在の年収 1割減の目安 判断
400万円 360万円まで 生活費次第で許容可
500万円 450万円まで 手残りへの影響を計算
600万円 540万円まで 福利厚生も含めて比較

ただし、これはあくまで目安です。家族構成、住宅ローンの有無、将来の昇給見込みなどによって大きく変わります。

「将来の年収カーブ」も含めて判断する

入社時の年収だけでなく、3年後・5年後にどこまで上がる見込みがあるかも重要です。入社時に年収が下がっても、昇給ペースが早い会社なら数年で逆転する可能性もあります。面接時に「評価制度」や「昇給実績」を具体的に聞くことをおすすめします。

A balance scale with money on one side and work-life balance icons (clock, family, growth) on the ot

年収が下がっても転職すべきケースとは

年収が下がるからといって、転職を諦めるべきとは限りません。以下のようなケースでは、年収ダウンを受け入れてでも転職した方が良い場合があります。

心身の健康を損なっている場合

過度な残業やパワハラで体調を崩しているなら、年収よりも健康を優先すべきです。これは断言します。健康を失ってからでは取り返しがつきません。

業界自体が縮小している場合

自分がいる業界が明らかに縮小傾向にある場合、早めに成長業界に移った方が長期的な年収は上がる可能性が高いです。私自身、1社目を辞めた理由は「業界の将来性に不安を感じた」からでした。短期的には年収が下がりましたが、今振り返ると、あのタイミングで業界を変えたことは正解だったと思います。

スキルの停滞を感じている場合

同じ仕事を何年も続けていて成長実感がない場合、年収が多少下がっても新しいスキルを身につけられる環境に移ることで、5年後・10年後のキャリアが変わります。

年収を下げないための具体的な対策

年収ダウンを最小限に抑えるための対策もあります。

同業界内での転職を検討する

業界を変えると年収は下がりやすくなります。逆に、同じ業界内であれば経験やスキルがそのまま評価されるため、年収を維持しやすいです。

私が3社目(現職)に転職した際は、2社目と同じ業界内での移動だったため、年収はアップしました。地方では特に、「業界選び」が「会社選び」より重要だと実感しています。

転職エージェントの「年収アップ」を鵜呑みにしない

エージェントは成約させることが仕事なので、「年収アップできますよ」というトークは話半分で聞いた方がいいと思います。エージェントの選び方や付き合い方については福岡で使える転職エージェント比較で詳しく解説しています。私は2社目の転職でこれを鵜呑みにして失敗しました。

大事なのは、エージェントの言葉ではなく、自分で求人票の給与条件を細かく確認することです。基本給・手当・賞与の内訳、残業代の計算方法、昇給の仕組みまで自分で把握しておくことをおすすめします。

現職での評価を上げてから転職する

転職市場での自分の価値は、現職での実績に直結します。転職活動と並行して、現職での成果を積み上げておくことが、結果的に年収交渉の武器になります。

複数の内定を比較する

1社だけの内定で決めると、条件交渉の余地がありません。可能であれば2〜3社の内定を持った状態で比較検討することで、年収条件を改善できるケースがあります。

転職で年収が下がった場合に使える制度

転職で年収が下がった場合に、活用できる公的な制度もあります。知っておくと安心です。

制度 概要 対象
就業促進定着手当 転職先の賃金が前職より低い場合に差額の一部が支給される 再就職手当を受給済み+同じ事業主に6ヶ月以上勤務
住居確保給付金 離職等により住居を失うおそれがある場合に家賃を支給 収入が一定以下の場合
住民税の減免 前年より大幅に収入が減少した場合に住民税の減免申請が可能 自治体による

特に「就業促進定着手当」は見落としがちですが、再就職手当を受給した上で同じ事業主に6ヶ月以上勤務し、賃金が前職より下がっている場合に活用できます。該当しそうな方はハローワークに相談してみてください。

A person confidently walking forward on a path with a city skyline in the background, warm sunrise c

Q. 転職で年収が下がるのは何割くらい?

厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、転職入職者のうち賃金が「減少」した人は29.4%です。一方、「増加」した人は40.5%で、年収が上がるケースの方が多い結果になっています。

Q. 年収が下がる転職の許容範囲は?

一般的には現在の年収の1割減(年収500万円なら450万円)が目安とされますが、生活費・家族構成・住居費によって大きく異なります。額面ではなく「手残り」で判断することが大切です。

Q. 年収が下がる転職はやめた方がいい?

一概には言えません。心身の健康を損なっている場合、業界が縮小している場合、スキルが停滞している場合などは、年収が下がっても転職した方が長期的にプラスになることがあります。重要なのは「なぜ年収が下がるのか」を理解した上で判断することです。

Q. 地方への転職は年収が下がりやすい?

傾向としてはそうです。東京と比べると、福岡・九州エリアでは同職種でも年収水準が低めです。ただし住居費や生活コストも低いため、手取りベースでの生活水準は大きく変わらないケースも多いです。

Q. 転職で年収が下がった場合に使える補助制度はある?

再就職手当を受給した方が同じ事業主に6ヶ月以上勤務し、賃金が前職より下がっている場合に「就業促進定着手当」として差額の一部が支給される制度があります。また、自治体によっては住民税の減免制度もあるため、お住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。

まとめ

転職で年収が下がること自体は、約3割の転職者が経験しており、決して珍しいことではありません。

大事なのは、「なぜ下がるのか」「どこまでなら許容できるか」「将来的に取り返せるか」の3点を自分の中で整理してから判断することです。

ポイント 内容
現実を知る 転職者の約3割が年収ダウンを経験
許容範囲を決める 額面ではなく生活費との差分で判断
将来を見る 入社時だけでなく3〜5年後の年収カーブも考慮
対策を打つ 同業界転職・条件の細かい確認・複数内定比較

個人的には、年収が多少下がっても「この業界で経験を積みたい」「この環境で働きたい」と思える転職先であれば、挑戦する価値はあると思っています。私自身、2社目で年収が下がった時は正直つらかったですが、そこで得た業界経験があったからこそ、3社目で年収アップの転職ができました。

短期的な年収だけでなく、3年後・5年後の自分のキャリアも含めて考えてみてください。

転職で年収が下がることへの不安は、正しい情報を持つことで軽減できます。このサイトでは、福岡・九州で働く30代の等身大の転職事情をこれからも発信していきます。年収ダウンの許容範囲についてもっと詳しく知りたい方は転職で年収が下がる許容範囲の考え方もあわせてご覧ください。