私自身、転職サイトやエージェントの選び方で失敗しています。1社目を辞めるとき、名前を知っているサービスに1つだけ登録して、そこから紹介された求人だけを見ていました。担当者の「年収アップが狙えます」という言葉をほぼそのまま信じ、結果として2社目では年収が下がりました。
このとき私が使ったサービス自体は、悪質な業者ではありません。ごく一般的な転職エージェントでした。問題は、私が判断の軸を持たないまま使っていたことです。そして世の中には、判断軸を持たない求職者にとって明確に危険なサービスも存在します。
この記事では、おすすめしない転職サイトをどう見分けるかを整理します。特定のサービス名を挙げて批判することはしません。私が実際に使って確認できていないサービスを名指しで悪く言うのは、信頼性を損なうと考えているからです。代わりに、どんなサービスでも当てはめられる判断軸をお伝えします。
求職者からお金を取る業者には理由がある
ここは法律で線が引かれている部分です。
最も分かりやすい危険信号は、求職者側から手数料を請求されることです。職業安定法では、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収することを原則として禁止しています。経済的に厳しい状況にあることが多い求職者に、過大な負担を負わせないための規定です。
例外として、芸能家、家政婦(夫)、配ぜん人、調理師、モデル、マネキンの6職種に限り、求職受付1回につき一定額を徴収できる仕組みがありますが、これも同一の求職者につき月3回までという制限があります。
| 区分 | 求職者からの手数料 |
|---|---|
| 一般的な職業紹介 | 原則として徴収できない |
| 上記6職種 | 例外的に限定的な徴収が可能 |
つまり、一般的な職種で転職活動をしている方が、紹介サービスから手数料を求められる場面は通常ありません。正規のサービスは、採用した企業側から手数料を受け取る仕組みで成り立っています。
注意したいのは、「職業紹介」ではなく「転職支援」「キャリアコーチング」といった別の名目で有料サービスを提供している事業者があることです。これ自体は違法ではなく、実際に価値を感じている利用者もいます。ただ、求人紹介を受けられると期待して申し込むと話が違ってきます。契約前に、それが職業紹介なのか、有料のコンサルティングなのかを確認してください。

求人票から読み取れる危険信号
掲載され続けている求人には、理由があります。
おすすめしない転職サイトを見分けるうえで、掲載されている求人の質は重要な手がかりになります。私が求人を眺めていて気をつけるようになったのは、次のような点です。
| 危険信号 | なぜ問題か |
|---|---|
| 同じ求人が長期間ずっと掲載されている | 採用が続かない、または募集の実体が薄い可能性 |
| 年収の幅が極端に広い | 上限が成績上位者の実績で、実態と乖離しやすい |
| 仕事内容の記載が抽象的 | 入社後に想定と違う業務を任される余地が大きい |
| みなし残業の時間数が書かれていない | 実質の労働条件が判断できない |
| 「アットホーム」など雰囲気の記述に偏る | 条件面で訴求できる材料が乏しい可能性 |
とくに1つ目と2つ目は、私も後から気づいた部分です。2社目の求人票には幅のある年収レンジが書かれていて、私はその上限に近い数字を前提に考えていました。実際に提示されたのは下限に近い条件でした。求人票のレンジは、下限が実質的な保証水準だと捉えたほうが安全です。
求人票の読み方全般については福岡で正社員転職を成功させるポイントにも整理しています。
担当者の対応で分かること
サービスの評判より、目の前の担当者の振る舞いのほうが実態を表します。
同じサービスでも担当者によって体験は変わります。ですから「このサービスはおすすめしない」と一括りにするより、担当者の対応から判断するほうが実用的だと私は考えています。
私が距離を置いたほうがよいと考えるのは、次のような対応です。
まず、応募を急がせることです。「この求人は人気なので今日中に返事を」と繰り返す担当者は、こちらの検討ではなく自分の都合で動いています。私が2社目で失敗した背景にも、急かされて比較検討の時間を取らなかったことがありました。
次に、こちらの希望と違う求人ばかり紹介してくることです。一度や二度なら情報提供の範囲ですが、繰り返されるならこちらの条件を理解していないか、紹介しやすい求人を優先しているかのどちらかです。
そして、企業の懸念点を聞いても具体的に答えないことです。私が今なら必ず聞くのは「この職場の気になる点を教えてください」という質問です。「そこは大丈夫ですよ」で流されるようなら、その担当者は求人票以上の情報を持っていない可能性があります。逆に、言いにくいことも含めて答えてくれる担当者は、企業側と本音で付き合えている証拠だと思います。
| 担当者の対応 | 判断 |
|---|---|
| 決断を急がせる | 距離を置く |
| 希望と違う求人が続く | 条件を再共有し、改善しなければ変更を申し出る |
| 懸念点に具体的に答えない | 情報量が乏しい可能性 |
| 退職交渉まで主導しようとする | 最終判断は自分で握る |
担当者が合わないと感じたら、変更を申し出られるサービスがほとんどです。相性の問題は能力とは別なので、遠慮する必要はありません。エージェントとの付き合い方は30代が使うべき転職エージェントの選び方にまとめました。

地方在住だと別の落とし穴がある
悪質かどうかではなく、噛み合わないという問題です。
福岡県の地方エリアに住んでいる私の実感として、地方在住者には「悪質ではないが自分には合わない」サービスという問題があります。全国型のサービスは首都圏の情報量を前提に設計されているため、地方だと紹介できる求人が細るのです。
このとき起こりがちなのが、担当者が求人を出すために通勤困難な地域の求人や、希望と違う職種を持ってくる状況です。担当者に悪意があるわけではなく、手元に該当する求人がないだけです。ただ結果として、こちらの時間は消費されます。
| 状況 | 見極め方 |
|---|---|
| 紹介される求人が遠方ばかり | 通勤圏の求人保有数を面談時に確認する |
| 職種が希望とずれ続ける | その分野の求人を扱っていない可能性 |
| 連絡が途絶えがち | 紹介できる案件がない状態かもしれない |
対策としては、面談の早い段階で「私の通勤圏で、現在何件くらい求人をお持ちですか」と聞いてしまうことです。総求人数が何万件あっても、自分が通える範囲にない求人は意味がありません。答えが曖昧なら、そのサービスは自分の地域には向いていないと判断してよいと思います。
地方では、ハローワークや企業の公式採用ページを併用することで見える範囲が変わります。福岡で使えるサービスの比較は福岡の転職エージェントを実体験で比較してみたに書きました。

合わないと判断したときの対処
やめる判断は、早いほど損失が小さくなります。
おすすめしない転職サイトだと感じたら、無理に使い続ける必要はありません。登録したからといって、そのサービスで決めなければならない義理はないからです。
段階としては、まず担当者の変更を申し出る。それでも改善しなければ、そのサービスの利用を止めて別の経路に軸足を移す。退会の手続きは各サービスの規約に沿って進められます。個人情報の取り扱いが気になる場合は、退会時に削除を依頼できるかを確認しておくとよいと思います。
そして最も大事なのは、比較対象を持っておくことです。1社しか使っていないと、提示された条件や紹介された求人が妥当かどうかを判断できません。私が1社目の転職で失敗した根本原因はここにありました。2社から3社を並行して使っていれば、「この担当者の言っていることは他と違う」と気づけたはずです。

よくある質問
Q. 有料の転職支援サービスは使わないほうがいいですか
一概に否定はしません。キャリアの整理や面接対策に価値を感じている利用者もいます。ただし、求人紹介そのものを期待して申し込むと話が違ってきます。契約前に、提供されるのが職業紹介なのか有料のコンサルティングなのかを明確にしてください。求人紹介を受けるだけなら、求職者が費用を負担する必要は通常ありません。
Q. 口コミが悪いサービスは避けるべきですか
参考にはなりますが、鵜呑みにはしないほうがよいと思います。同じサービスでも担当者によって体験が大きく変わるためです。口コミで全体の傾向をつかみつつ、最終的には自分の担当者の対応で判断するのが実用的だと考えています。
Q. 何社くらい登録すればいいですか
2社から3社が現実的だと思います。1社だけだと比較対象を持てず、提示された条件が妥当か判断できません。逆に5社以上になると連絡対応だけで在職中の負担が重くなります。私は1社しか使わずに失敗しました。年代別のサービスの選び方は30代におすすめの転職サイトを実体験で比較にまとめています。
Q. 退職を急かされたらどうすればいいですか
いったん持ち帰ってください。退職の申し出時期は民法第627条で、期間の定めのない雇用契約の場合、解約の申し入れから2週間の経過で契約が終了すると定められていますが、就業規則で1か月前の申し出を求めている職場も多くあります。担当者の都合で退職日を決めると、引き継ぎで揉める原因になります。最終判断は自分で握るべきだと思います。
まとめ
おすすめしない転職サイトを見分ける軸は3つあります。求職者から手数料を求められないか、掲載求人に長期掲載や極端な年収レンジといった危険信号がないか、担当者が決断を急がせたり懸念点をはぐらかしたりしていないか。加えて地方在住であれば、悪質かどうかとは別に「自分の通勤圏の求人を持っているか」という噛み合わせの問題があります。
私から個人としておすすめしたい行動を1つ挙げるなら、面談の最初に「私の通勤圏で今どれくらい求人をお持ちですか」と聞いてみることです。この一言で、そのサービスが自分にとって使えるかどうかがかなり分かります。私が失敗したのは、こうした確認を一切せずに1社に任せきりにしたからでした。
このサイトでは、福岡・九州で働く30代が、東京基準ではない現実的な条件のなかで納得できる選択をするための情報を発信していきます。