私はこれまでに2回転職しています。1社目は新卒で入った会社を数年で辞め、2社目は転職エージェント経由で移りました。この2社目が、正直に言えば失敗でした。担当者の「年収アップが狙えます」という言葉を信じて決めたのに、実際には年収が微減したのです。

そして3社目への転職では、年収を上げることができました。同じ人間が、たった数年の間に真逆の結果を出しています。運がよかったわけではなく、やり方をはっきり変えたからだと思っています。

この記事では、3社目への転職で私が具体的に何を変えたのかを振り返ります。失敗の中身そのものについては私の転職失敗談から学んだ3つのことに書きましたので、ここでは「その後どう動いたか」に絞ってお伝えします。

エージェントを使わず、求人サイトで自分から応募した

まず、探し方の主導権を自分に戻しました。

3社目への転職を探すとき、私は転職エージェントを使いませんでした。私の場合は、まず探し方そのものを見直すところから始めました。エージェントが悪いという話ではありません。2社目の反省が「自分で判断しなかったこと」にあったので、まずは自分の目で情報を集める経験を積みたかったのです。

求人サイトで自分から応募する形にすると、当然ながら手間は増えます。求人票を自分で読み込み、企業ごとに応募書類を用意し、日程調整も自分でやることになります。それでも私にとっては、この手間そのものに意味がありました。

エージェント経由だと、担当者が「あなたに合う」と判断した求人が先に届きます。効率はよいのですが、選択肢がすでに絞られた状態で始まります。2社目のときの私は、その絞り込みが誰の基準で行われているのかを考えていませんでした。

探し方 主導権 私が感じた向き不向き
エージェント経由 担当者と共有 時間がない人には合う。判断は自分でする前提
求人サイトで自己応募 自分 手間はかかるが、比較の基準が自分の中に育つ

今なら、両方を併用するのが合理的だと分かります。ただ当時の私には、一度自分だけでやってみる期間が必要でした。この経験があったから、今は担当者の説明を聞いても「それは自分の場合どうなるのか」と考えられるようになったと思っています。

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業界を変えなかった

これが年収に一番効きました。

3社目への転職で私が決めていたのは、2社目と同じ業界の中で動くということでした。2社目は業界を変えての転職で、慣れるまでにかなり苦労しました。せっかくその業界の知識を身につけたのに、また別の業界に移ればそれがリセットされます。

私の場合は、同業界内での転職にすると面接での話が明確に変わりました。業界特有の事情を前提に話ができるので、こちらの経験がそのまま評価されました。未経験扱いにならないぶん、提示される条件も違ってきます。実際、私が年収を上げられた最大の要因はここだと考えています。

地方に住んでいると、この判断の重みは都市部より大きくなると思います。求人の絶対数が少ないため、未経験可の求人に絞ると候補がほとんど残らないからです。逆に、経験のある業界であれば地方でも一定の需要があります。

私が今も持論として持っているのは、地方では「会社選び」より「業界選び」が先だということです。伸びている業界の中小企業と、縮小している業界の会社であれば、前者のほうが個人の条件は改善しやすい場面があります。この考え方は地方で年収を上げる現実的な方法にも書きました。

求人票の見方を根本から変えた

額面の年収を見るのをやめました。

私が転職して痛感したのは、2社目の失敗の直接的な原因が、提示された年収の総額だけを見て内訳を確認しなかったことにあるという点です。3社目への転職では、求人票を読む順番を変えました。年収の欄は最後に見るようにしたのです。

先に確認したのは、次の4項目です。

確認項目 何を見たか
みなし残業 固定給に何時間分が含まれているか
賞与 「支給実績」として何か月分と書かれているか
昇給 定期昇給があるか、評価連動か
手当の構成 何の手当がいくら乗って総額になっているか

この4項目を確認してから年収を見ると、同じ「年収450万円」でも中身がまったく違うことが分かります。みなし残業が45時間分含まれている450万円と、含まれていない450万円は別物です。当たり前のことなのですが、2社目のときの私はここを見ていませんでした。

面接でも遠慮せずに聞きました。「賞与の支給実績を、直近3年で教えていただけますか」といった質問です。聞きにくいと感じる方もいると思いますが、答えられない企業のほうが問題だと今は考えています。実際、私が聞いたときはどの企業も普通に答えてくれました。

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3か月かけて、複数社を並べて比べた

急がなかったことが、結果的に一番効いたかもしれません。

私の経験を振り返ると、2社目のときは転職活動を急ぎすぎました。早く今の状況から抜け出したいという気持ちが先に立ち、比較検討の時間を取らずに決めてしまったのです。

3社目のときは、在職しながら3か月以上かけました。焦らずに済んだのは、収入が途切れていなかったからです。もし先に退職していたら、貯金が減っていく不安から早く決めたくなっていたと思います。在職中に進めることの価値は、精神的な余裕そのものにあると私は考えています。

複数社を同時に選考に進めたことにも意味がありました。1社しか進んでいないと、その1社が唯一の選択肢に見えてしまいます。3社を並べて比べると、条件の相場観が自分の中にできます。「この業界のこの規模なら、この水準が普通なのだな」という感覚が持てたことで、提示された条件が妥当かどうかを自分で判断できました。

エージェントを使わなかったぶん、年収の交渉も自分でやることになりました。正直、これは緊張しました。ただ、複数社の条件を見て相場が分かっていたので、根拠を持って話すことができました。相場を知らないまま交渉していたら、たぶん何も言えなかったと思います。

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入社してから分かったこと

うまくいったと言えるまでには、少し時間がかかりました。

私自身、条件面では納得して入社しましたが、3社目への転職が「大成功だった」と入ってすぐに感じたわけではありません。同じ業界とはいえ会社が変われば進め方は違いますし、人間関係も一から作ることになります。最初の数か月は普通に大変でした。

それでも2社目のときと決定的に違ったのは、想定と現実のギャップがなかったことです。求人票と面接で確認した内容が、そのまま実態でした。当たり前に聞こえるかもしれませんが、2社目ではここがずれていたので、私にとっては大きな違いでした。

現職では、Web制作や社内システムの設計、AIを使った業務自動化を担当しています。中小企業なので担当範囲が広く、大手であれば複数の部署に分かれているであろう領域を一人で見ています。大変ではありますが、この幅広さが自分のスキルを伸ばしてくれたのは間違いありません。転職後にスキルをどう積み上げるかは30代のリスキリング完全ガイドにまとめました。

30代の転職について、ネット上の声と実感のずれを検証した記事もあります。30代転職のリアルな声|ネットの本音を地方目線で検証も参考になればと思います。

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よくある質問

Q. エージェントは使わないほうがいいのですか

そうは思いません。私が3社目で使わなかったのは、自分の判断力を育てたかったという個人的な理由からです。時間が取れない方や、非公開求人を見たい方にはエージェントは有効です。大事なのは使うかどうかではなく、最終的な判断を自分でしているかどうかだと思います。

Q. 業界を変えると必ず年収は下がりますか

必ずではありません。ただ、経験がリセットされるぶん不利になりやすいのは事実だと思います。私の場合、2社目で業界を変えて年収が微減し、3社目で業界を変えなかったことで上がりました。業界を変えたいのであれば、年収の一時的な低下を織り込んでおくと精神的に楽です。

Q. 在職中の転職活動は大変ではありませんか

大変です。面接の日程調整には有給を使いましたし、帰宅後に応募書類を書く日も多かったです。それでも、収入が途切れないことによる精神的な余裕には代えがたいものがありました。条件を妥協せずに済んだのは、この余裕があったからだと思っています。

Q. 3か月は長すぎませんか

人によると思います。私の場合、2社目で急ぎすぎて失敗した反省があったので、あえて時間をかけました。ただ闇雲に長引かせたわけではなく、複数社を並行して進めながらの3か月です。期限を決めずにだらだら続けるのは、また別の問題を生むと思います。

まとめ

3社目への転職でうまくいった要因を整理すると、エージェントに頼らず自分で探したこと、業界を変えなかったこと、求人票を額面ではなく内訳で見たこと、そして在職しながら3か月かけて複数社を比較したこと。この4つに尽きます。特別なことは何もしていません。2社目でやらなかったことを、順番にやっただけです。

私から個人としておすすめしたい行動を1つ挙げるなら、気になっている求人票の「年収」の欄を紙で隠して、それ以外の項目だけで比べてみることです。みなし残業、賞与実績、昇給の仕組み、手当の構成。これだけで印象がかなり変わる求人があります。私が2社目で見落としたのは、まさにこの部分でした。

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