私自身は県外からのUターンではなく、福岡県の地方エリアにずっと住みながら2回の転職をしてきました。ですから「都市部から戻ってきた」という体験そのものは持っていません。ただ、地方で転職活動をした立場として、使える公的な制度を知らないまま動くことがどれだけもったいないかは実感しています。
福岡のUターンを考えている方の多くは、年収が下がることを心配されると思います。実際に下がるケースは少なくありません。だからこそ、初期費用の負担を軽くする制度は真剣に調べる価値があります。まとまった金額が動く制度なので、知っているかどうかで生活の立ち上がりがかなり変わります。
この記事では、福岡のUターンで使える移住支援金の中身と、見落としやすい要件を整理します。福岡のUターンは制度を知っているかどうかで初期の負担が大きく変わります。制度は年度ごとに見直されるため、最終的には必ず移住先の市町村の公式ページで確認してください。
福岡のUターンで中心になるのは「移住支援金」
まず押さえるべき制度が1つあります。
福岡のUターンで最も金額が大きいのが、福岡県が実施している移住支援金です。これは国の地方創生移住支援事業をベースにした制度で、都市部から福岡県内の対象市町村に移住し、一定の条件で就業した方に支給されます。
支給額は次のとおりです。
| 区分 | 支給額 |
|---|---|
| 単身での移住 | 60万円 |
| 2人以上の世帯での移住 | 100万円 |
| 18歳未満の子どもを帯同 | 子ども1人につき最大100万円を加算 |
子どもの加算は見落とされやすいところです。18歳未満の子ども2人と移住する世帯であれば、世帯分の100万円に加算が乗る計算になります。なお18歳未満かどうかは申請年度の4月1日時点で判定されます。
私の感覚では、地方でこの金額は決して小さくありません。福岡の地方エリアであれば、引っ越し費用と当面の生活費、車の購入費用の一部くらいはまかなえる規模です。Uターン後に年収が下がる前提で計画を立てるなら、この初期の余裕は精神的にも大きいと思います。
福岡のUターン全体の進め方については福岡へのUターン転職ガイド|東京からの実体験にまとめています。

対象になる市町村と、ならない市町村がある
ここが最大の注意点です。
移住支援金は福岡県内であればどこでも使えるわけではありません。地方部への人口分散が目的の制度なので、対象は限定された市町村のみです。福岡県の資料によると、令和8年4月1日現在で31市町村が参加しており、北九州市、大牟田市、久留米市、飯塚市、田川市などが含まれています。
そして重要なのが、福岡市は対象外だという点です。
福岡のUターンを考えている方の多くは、まず福岡市を候補に置くと思います。求人数が最も多く、都市部からの移住先としてイメージしやすいからです。ところが、その福岡市を選ぶとこの制度は使えません。
| 移住先 | 移住支援金 |
|---|---|
| 北九州市・久留米市・大牟田市など31市町村 | 対象 |
| 福岡市 | 対象外 |
これは制度の設計上そうなっているだけで、福岡市への移住が悪いという話ではありません。ただ、支援金を前提に資金計画を立てているなら、移住先の選択そのものに関わります。「福岡市に住んで久留米に通う」といった形だと支援金は使えませんが、逆に久留米市に住んで福岡市方面に通うのであれば要件次第で対象になり得ます。
私は福岡県の地方エリアに住んでいますが、この地域は求人の絶対数こそ少ないものの、住居費と駐車場代が福岡市とは比べものにならないほど安いです。支援金と生活コストの両方を考えると、地方部を候補に入れる価値は十分あると思います。筑後エリアの実情は筑後エリアの転職事情と求人の探し方に書きました。

移住元と就業の要件を確認する
金額の大きさに見合って、要件はそれなりに細かいです。
移住支援金には、どこから移住してくるかという要件と、移住後にどう働くかという要件の両方があります。
移住元については、対象となる都市圏に一定期間住んでいたことが条件になります。筑後市の案内では、直前10年のうち通算5年以上、東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)、大阪圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県)、名古屋圏(愛知県・岐阜県・三重県)のいずれかに在住し、かつ転入直前まで連続1年以上在住していたことが要件とされています。国の標準的な制度は東京圏を対象としていますが、福岡県では三大都市圏まで広げている市町村があるということです。ただし細部は市町村によって異なる可能性があるため、必ず移住先の公式案内を確認してください。
就業の要件は、主に次のいずれかに該当する必要があります。
| 就業のパターン | 内容 |
|---|---|
| マッチングサイト掲載求人への就業 | 福岡県移住・就業マッチングサイトの求人に就職する |
| プロフェッショナル人材事業の活用 | 県の事業を通じて就業する |
| 人材確保困難職種への就業 | 農林漁業、保育士、介護職など |
| テレワーク | 移住後も前職を継続。住宅の購入・新築が条件 |
| 起業 | 別途の要件あり |
この表のなかで最も使われるのが1つ目です。福岡県移住・就業マッチングサイトは福岡県が運営しており、週20時間以上の無期雇用契約に基づく求人で、資本金10億円未満の中小企業等が対象とされています。つまり、自分で見つけてきた求人であれば何でもよいわけではありません。
さらに、申請日から5年以上その就業先で継続して勤務する意思があること、転勤・出向・出張・研修による勤務地の変更ではなく新規の雇用であることも求められます。申請は移住先の市町村に対して、転入後1年以内に行う必要があります。
私が転職活動で痛感したのは、条件の細部を後回しにすると後で効いてくるということです。2社目への転職では、提示された条件の内訳を確認せずに進めて年収が下がりました。制度も同じで、「たぶん使えるだろう」で動くと申請段階で外れます。求人を決める前に、その求人が支援金の対象かどうかを確認する順番が正しいと思います。

福岡のUターンで使える移住支援金以外の支援
支援は移住支援金だけではありません。
市町村によっては、住宅の取得やリフォームへの補助、子育て世帯への支援、空き家バンクの活用支援といった独自の制度を用意しています。金額は移住支援金ほど大きくないことが多いものの、複数を組み合わせられる場合があります。
相談先としては、福岡県のふくおかよかとこ移住相談センターがあります。福岡窓口は福岡市中央区天神のエルガーラオフィス、東京窓口は千代田区有楽町の東京交通会館に置かれています。都市部にいる段階で相談できるのは、実務上ありがたい仕組みだと思います。
就職相談については、福岡県若者就職支援センターがUIJターン希望者向けのメール相談を行っています。学生からおおむね39歳までが対象なので、30代の方であれば使える窓口です。
なお、Uターン後に年収が下がった場合の考え方は転職で年収が下がるのは普通?に、地方で収入を伸ばす方法は地方で年収を上げる現実的な方法に整理しています。制度で初期費用を抑えつつ、中期的に収入を戻していく設計にするのが現実的だと私は考えています。

よくある質問
Q. 福岡市に移住すると支援金は使えませんか
福岡県の移住支援金については、福岡市は対象市町村に含まれていません。制度を使いたい場合は、対象となっている31市町村(令和8年4月1日現在)から移住先を選ぶ必要があります。ただし対象市町村は年度によって見直されるため、検討時点の最新情報を福岡県の公式ページで確認してください。
Q. 転職先はどうやって探せばいいですか
移住支援金を使う前提であれば、まず福岡県移住・就業マッチングサイトの掲載求人を見るのが確実です。ここに掲載されている求人であれば就業要件を満たしやすいためです。一般の転職サイトと併用しつつ、支援金の対象になる求人かどうかを常に確認しながら進めるとよいと思います。福岡での正社員求人の探し方は福岡で正社員求人を効率よく探す方法も参考になります。
Q. 支援金をもらった後にすぐ辞めたらどうなりますか
申請時点で5年以上継続して勤務する意思があることが要件とされています。短期間で離職した場合の取り扱いは市町村の要綱で定められており、返還を求められる可能性があります。詳細は申請先の市町村に確認してください。
Q. 単身でのUターンでも使えますか
単身での移住も対象で、支給額は60万円です。世帯での移住より金額は下がりますが、引っ越し費用と当面の生活費を考えれば十分な規模だと思います。要件は世帯の場合と同様に、移住元・就業・申請時期の3点を満たす必要があります。
まとめ
福岡のUターンで中心になるのは移住支援金で、単身60万円、2人以上の世帯100万円、18歳未満の子ども1人につき最大100万円の加算という設計です。ただし対象は県内31市町村(令和8年4月1日現在)に限られ、福岡市は対象外です。移住元の在住要件、マッチングサイト経由などの就業要件、転入後1年以内という申請期限のいずれかを外すと受け取れません。
私から個人としておすすめしたい行動を1つ挙げるなら、転職先を決める前に移住先の市町村の担当窓口に一度問い合わせてみることです。求人を先に決めてしまうと、その求人が要件を満たさなかったときに選び直しになります。順番を逆にするだけで、取りこぼしはかなり防げるはずです。
なお本記事の制度内容は執筆時点で公表されている情報に基づいています。金額・対象市町村・要件はいずれも見直される可能性があるため、実際の申請にあたっては福岡県および移住先市町村の公式情報を必ずご確認ください。このサイトでは、福岡・九州で働く30代が、東京基準ではない現実的な条件のなかで納得できる選択をするための情報を発信していきます。